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事業承継事例(2021年度版)

当センターにて支援した事業者様の事業承継・引継ぎ事例を紹介しています

国東市武蔵町糸原57-1 tel.0978-69-0019

からあげ花ちゃん
地元では馴染みのなかった味付けで、「この味じゃ、ダメだ」と言われたこと多数。
それでも自分の信じた方向性を貫き通した両親の背中を見て成長した三男は、移転拡大した新店舗で”我流”の未来をつくる。
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2人で守ってきた店を、覚悟をもって継いでくれた。

親/花木展洋さん

休みもせず働く姿を見て、いつかは継ごうと思っていた。

子/花木幸紀さん

企業概要
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現代表者がスーパーの精肉部門勤務後、1998(平成10)年に持ち帰りの唐揚げ専門店を創業。楽天市場にて全国発送も手掛けている。コンテナの店舗と醤油ベースのこだわりの味が特徴だ。

承継年表

1998年創業 2022年事業承継予定
▼2020年9~10月 国東市商工会からの紹介で大分県事業承継・引継ぎ支援センターを利用。
▼2020年10~11月 当センターから税理士を派遣し、顧問税理士も交えて承継スキーム検討。中小機構の専門家派遣を活用し、事業承継計画を策定。国東市商工会支援により事業再構築補助金に採択される。
▼2021年12月 移転・新規オープン。

一生懸命働く姿を見て継ぐ意志が明確になった

 2021年12月7日、国東市武蔵町の国道213号線沿いに、持ち帰りの唐揚げ専門店『からあげ花ちゃん』が移転オープンした。ひときわ目をひく大きなコンテナ型の店舗に広々とした駐車場。初日は古くからの常連客はもちろん、ポスティングや友人・知人のSNS効果なども功を奏したようで初めて訪れる人も多く、「予想をはるかに上回る」大盛況だったという。
 もともとは、同じ町内で現代表の花木展洋さん(68歳)と妻の千鶴子さん(63歳)が1998(平成10)年に開業した店。三男の幸紀さん(35歳)の承継時期が正式に決まり、この場所で新たなスタートをきった。
 長年、大手スーパーの精肉部門で働いていた展洋さんが体調を崩したのを機に退職し、「ダメでもともと、2人でできることをやろう」という千鶴子さんの後押しで始めた店。当初は近隣に同形態の店が多かったが、精肉部門時代に培った知識と経験、ターゲット層の絞り込みを武器に、独自の味を追求していった。
 開業からしばらくは無休で店に立ち続けていた父、育児と祖父母の介護と店の仕事を掛け持ちしていた母。小学生だった幸紀さんは学校から店に直行し、仕事をする両親の姿を間近で見ながら大きく成長していった。
 「正月の夜12時頃、寺に初詣に行ったら親がいて、今が仕事帰りだと言うんです。そういうのを見て、放っておいたら倒れるなと。いつかはと何となく思ってはいたけど、その出来事があとを継ぐことを決めたきっかけになったような気がします」。

お互いの”我”が強すぎて 衝突を繰り返した日々を経て

 別府市内の焼肉店で働いていた幸紀さんが家業を継ぐために帰ったのは20代後半の時。展洋さんもまだまだ元気な50代。仕事への姿勢やこだわり、プライドがお互いに強すぎて、最初の数年は衝突ばかり。「記憶にも残っていないほど些細なこと」で、目を合わせればどちらからともなく口喧嘩が始まる毎日。3〜4年前からようやく、折り合いが付いてきたようだ。
 「徐々に仕事の仕方や責任のウェイトが自分に傾いてくるようになってきたんです。親父も少しずつ認めてくれるようになったのかもしれないですね」。
 にんにくを控えめにした醤油ベースの調味液に九州産の新鮮な鶏肉を半日漬け込んだオリジナルの唐揚げ。注文を受けてから正確な温度と時間で揚げ、お客さんに提供するまでの時間は約10分だ。「この短い時間に、お客さんの評価は良くも悪くも決まる」と幸紀さん。なるべく待たせず、熱々を提供するための段取りを考え、ピーク時でも親子3人完璧な役割分担で注文をさばいていく。近年は味付け唐揚げ肉の冷凍真空パックをネットショップで販売。国東市ふるさと納税返礼品にも出すなど、販路を広げている。
 「全国の人に食べてもらえる機会ができるし、うちの味を気に入って、直接注文してくれる人が増えると嬉しいですね」。
 今や”日本の国民食”になりつつある唐揚げ。日常の食卓に、おやつに、お土産に、誕生日会などのイベントに、家族経営の小さな厨房はあらゆるシーンと繋がっている。

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ぶつ切、手羽先、すなずり、なんこつ、骨付きももまで様々な部位を楽しめる唐揚げ。近年は骨なしが人気。

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展洋さんと2人で店を守ってきた千鶴子さん。お客さんの顔と名前を把握し、店頭でも電話注文でも一言添えること
を心がけるなどコミュニケーション能力は家族随一だ。「これからはサポート役です」と、にこやかに語る。

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2022年承継予定の幸紀さん。店内は旧店舗時代から変わらず手作り感満載で、アットホームな優しい雰囲気。1万人達成ごとに撮影するお客さんの写真の貼り出しも引き継いでいる。

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海外輸送用の40フィートコンテナで作った店舗は、外観の塗装から窓枠、内装までこだわった。仕事の流儀が違い、最初の頃は衝突ばかりしていた親子が、今では息のあったコンビネーションで厨房に立つ。

支援内容:事業承継計画策定支援と支援施策活用の提案

商工会の伴走型支援で派遣された専門家から個人事業主の資産承継の難しさを指摘され、大分県事業承継・引継ぎ支援センターに税理士派遣の要請があった。妻は専従、長男と次男は他社勤務であり、親族間の相続も踏まえた助言を顧問税理士も交えて実施。また、経営革新、事業承継・引継ぎ補助金の活用も視野に入るとして、中小企業診断士の事業承継計画策定支援を実施した。

支援効果:事業承継の支援で新店舗開設を後押しした

店舗更新時に代表名義の土地取得を検討していたが「事業用の資産は後継者に集中すべき」との税理士の助言で考えを変えた。補助金活用の助言から施策活用を視野に入れて準備、新たに始まった事業再構築補助金を活用し、新店舗開店も実現した。計画的な承継準備と事業拡充が実現している。