事業承継事例(2020年度版)

大分県事業承継ネットワーク事務局が支援した事業承継(親族内、従業員承継)事例です

大分市古ヶ鶴2-5-6 tel.097-558-1331

有限会社豊田商会
家族で歩んだ創業55年の歴史はさらなる飛躍へ
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家業を継いでくれる
というだけでとても
ありがたいと思っている。

親/豊田吉郎さん

両親が築き上げた土壌の上に
新しい種を蒔き、さらに
花を咲かせていきたい。

子/豊田弘さん

企業概要
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以前は1階が店舗で2階が自宅だったという愛着ある社屋。店先には従来から取り扱いのあるガス器具だけでなく、消毒液やサーモグラフィーカメラなどの衛生用品も並ぶ。

承継年表

1969年創業、2020年事業承継
▼1969年 吉郎さんが創業。ガス器具の販売を始める
▼1989年 長男 弘さんが入社。
▼2020年6月 弘さんが代表取締役に就任し、事業を承継した。
     長女も取締役に。

地域の人々に頼られる『ガス屋さん』として

 『有限会社豊田商会』と言えば、屋号にガスの二文字は無くても「ああ、あのガス屋さんね」と思い当たる地元の人も多いはず。創業は昭和44年。それまでは家電などを扱う小売店に勤務していたという現会長職の豊田吉郎さん(86歳)が、「独立してガス器具を売ってみないか?」と知り合いに声をかけられたのがきっかけとなり、6畳1間の部屋を倉庫兼仕事場としてスタートさせた。以来、奥様と共に夫婦二人三脚でコツコツと販路を開拓。ガスの検針業務を請け負うなど、業務内容拡大に伴い従業員を徐々に増やしつつ、地域の人々の安全で快適な暮らしを支え続けてきた。
 「昔はガスを使わない家なんてありませんから、ガス器具というのは生活必需品です。そして取り付けるだけでなく、調子が悪いとか火がつかないなどの様々な理由から修理の依頼も多いし、使えないと途端に生活に支障が出るので、なるべく早く対処しないといけない。ですから、この仕事を始めて365日休みなんて無いような生活を送ってきましたが、お客様に喜んでもらえるからこそ50年以上も続けてこられたのだと思います」と朗らかに話す吉郎さん。ご夫婦は2人の子宝にも恵まれたが、従業員もいるとはいえ店を長期に離れることを良しとせず、長年家族旅行などとは無縁の生活を送ってきたが、その一方で誠実な仕事ぶりが功を奏し、事業においては信頼と実績を築き上げてきた。

専門家の助言を仰ぎ円滑な事業継承を実現

 そんな両親の背中を見て育った長男の弘さんは、学校卒業後ガス関連会社に入社。3年間ほど勤めた後退社し、1989年、両親が創業した『豊田商会』に入社した。「私が入社した時も扱っていたのはガズ器具だけでした。でも、これだけでは先細りしてしまう。そう考えて、水廻りを中心とするリフォーム事業に乗り出したんです」と弘さん。
 新しい分野への挑戦も始めた息子の弘さんを見て、いずれは事業の全てを託したいと考えていた父親の吉郎さん。「当初は名刺の肩書きを変えれば済むだろうというくらいの考えだったのですが、現実はそう簡単では無かったですね」。具体的にどうすればスムーズに移行する事ができるのかと考えあぐねていたところに、2015年に『事業引継ぎ支援センター』の開設を知り、早速相談。吉郎さんは当時80歳を超え、専務だった弘さんも50歳を目前にして十分に経験を積んでいたタイミングでの相談だったが、事業の安定的成長を重視し、5年もの月日をかけ慎重に世代交代を進めていった。
 「両親が地道に仕事をしてくれたお陰で、今の会社の土壌がある。これに感謝し大切にしていきながら、時代を見据えた新しい事業を展開していくのが私の務めだと思っています」と弘さん。現在は消毒液など衛生用品の納入でも業績を伸ばすなど事業内容も大幅に変わっていく中で、働き方改革にも着手。休みを定期的に取ることもでき、家族旅行なども楽しめるようになった。会長ご夫婦は今でも毎日出社し、取締役に就任した長女や他の従業員達と一緒に働いている。互いを尊重し、頼りにしながら、創業当初から変わらぬ『地域の人々への奉仕』の精神を親子二代に渡って守り続けている。

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『天網恢々疎にして洩らさず』が信条の吉郎さん。かくしゃくとしたその姿は、全ての従業員の手本となっている。

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ガス器具以外にも、キッチン・バスなどの住設機器も幅広く取り扱うため、弘さん自身様々な資格を有し、作業にあたっている。

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衛生用品の取り扱いなど新しい分野への事業も開拓し、積極的に会社を牽引していく弘さん。

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アットホームな雰囲気の中で、気心知れた従業員達が和気あいあいと仕事に取り組んでいる。

支援内容:専門家によるアドバイスと具体的な承継作業の伴走支援

2015年の相談当時、すでに現会長は80歳を超えており、50歳を迎えようとしている長男は専務として十分に経験を積んでいたため、早急に代表の交代や株の移譲などを行いたいと考えていた。しかし、具体的な方法や方向性などがなかなか決められずにいたため、一旦保留に。2019年に再度センターによるヒヤリングを実施。税理士からのアドバイスを受けることを勧めた。

支援効果:タイミングよく株を引継ぎ経営移譲で更なる安定成長へ

センター、専門家の税理士にて支援を実行。センターが時間をかけて現会長とヒアリングを重ねた上で税理士を派遣。株の移転方法、移転時期などについて具体的にアドバイスし、2020年6月に代表者交代・株式譲渡等の承継の実務が滞りなく行われた。