事業承継事例(2020年度版)

大分県事業承継ネットワーク事務局が支援した事業承継(親族内、従業員承継)事例です

宇佐市江須賀2929-4 tel.0978-38-3921

株式会社宇佐米飯センター
徹底した衛生管理で学校給食の一端を担う矜持を持って歩む。
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夫婦で協力し合って
困難な局面に遭遇しても
乗り越えていって欲しい。

親/代表取締役 髙橋信男さん

周囲の協力に感謝し
何事にも真摯に
取り組んでいきたい。

子/取締役 髙橋公信さん

企業概要
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周防灘を望むのどかな田園が広がる地域に建つ学校給食会の委託炊飯工場。徹底した衛生管理のなか、毎月、大分県産の10kg袋入精米250袋が3回届く量の炊飯を行っている。

承継年表

1973年創業、2021年事業承継(予定)
▼2020年1月
宇佐商工会議所からの相談要請を受け、ブロックコーディネーターが面談。
▼2月
専門家(中小企業診断士)を派遣。承継を機に法人化するとの方針が定まった。
▼8月
法人を設立。信男さんが代表取締役に就任。9月法人化するも、その後承継の動きがないことを確認。
▼10月
大分市で開かれた大相談会へ参加。弁護士、税理士の助言により、懸念事項を解決。顧問税理士も選定。

和菓子から学校給食へ、宇佐市内31校を一手に

 戦後、困難な食糧事情の下、子どもたちの空腹を満たすために大きな役割を果たしてきた学校給食。その頃の主役はコッペパンで、長らく続いたが、段々と「給食でご飯を食べたい」という声が高まり、それに応えるように1976年、正式に米飯給食が導入された。
 『株式会社宇佐米飯センター』は、代表取締役の髙橋信男さん(73歳)が1973年に『峰月堂米飯センター』として創業した。父親が『峰月堂』という和菓子店を営んでいたが、将来のことを考えて学校給食の一端を担うことを決断、新規に参入した。さらに導入が予定されていた米飯給食のことを見越して“米飯センター”と名付けた。創業当初はパンを製造し、米飯化に合わせて社屋を新築、大釜を導入するなどの設備投資を行い、炊飯も手掛けるようになった。週2日のペースだったが今では4日まで増え、さらに同業者の廃業や宇佐市が近隣の町と合併したことにより、宇佐市と安心院管内の小中学校31校を一手に引き受けるまでになった。
 長男の公信さん(44歳)は、住居が会社に隣接してあったため、幼い頃から「継ぐんだろうな」と漠然と考えていた。高校卒業後、県外で働いていたが、1997年、21歳の時に帰郷し入社。生産はもとより、当時は宇佐市内のみの配達を1人で担当していた。妻の育子さん(43歳)も15年以上、生産と事務に携わっていたこともあって、信男さんはできるだけ早く事業承継したいと考えていたが要領を得ず時だけが過ぎていった。

築き上げたノウハウ、少子化への備え

 朝6時、洗米、浸水、炊飯、蒸らし・・・と一連の作業を行う公信さん。季節によって炊飯時間を調整したり、懸念される異物の混入には細心の注意を払っており、衛生面においては大分県から何度も表彰されるほど管理は徹底している。また育子さんも宇佐市のほうから毎月送られてくる計画表の他に、日々届くクラス単位の数量などを正確かつ迅速に処理し5人のパート従業員に指示を出すなど、事務及び生産の両面で大きく貢献してきた。朝10時、信男さんと公信さんは1クラスごとに分けられた温かいご飯の入った食缶を各学校に届けるため出発、そして13時からは回収へと向かう。取引は安定しており、小中学校の長期休暇中は売上げがなくなるものの、英気を養うことができると前向きに捉えている。「子育て中のパートさんにとっては子どもさんと一緒に長期休暇を過ごせて都合がいいんです」と育子さん。
このように事業自体は、公信さん夫妻が中心となって運営しており、実務面での承継に問題はなく意志も十二分にあった。そんな2人を “工場長と総務部長”として全幅の信頼を寄せている信男さんは、70歳になるのを前に、懸念される少子化への備えなど事業承継について真剣に考え、地元商工会議所が主催する講習会に度々足を運んでいた。
 2020年8月『峰月堂・・・』という個人商店から、『株式会社宇佐米飯センター』へと法人化し、代表取締役に、公信さんも取締役に就任。代表の交代は2021年5月の決算期を目途に検討しているが、信男さんは交代後も健康維持のため配達は続けていくつもりだ。今後、公信さんは経営者として難しい判断を求められることもあるが、 “食育”の観点から見ても重要な使命を遂げる学校給食の一助となることに誇りを持ち、夫妻で力を合わせて切り拓いていく。

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炊き立てのご飯を温かいまま届ける“食缶”を整理する育子さん。

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財務管理などはパソコンで行っている。

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学校給食会の取扱うお米(ヒノヒカリ)はすべて大分県産米で、毎年11月からは新米になるため、炊飯時の水分調整などが重要になってくる。

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設備は常に清潔を保ち衛生的な環境作りを心掛けている。

支援内容:会社の財務内容を示し現状を把握、資産や負債について詳らかにする

2020年1月、承継にあたり「個人から個人」か「法人成り」のいずれを選ぶべきか、そのメリットとデメリットを確認するため専門家(中小企業診断士)を派遣。後継者夫妻に2018年分の決算書を元に財務内容を把握してもらう。8月に司法書士の支援下で代表者(父)が法人を設立したが活用できずにいたため、10月大分市内での大相談会への参加を提案し弁護士、税理士の助言によって相続の懸念も含めて解決、同税理士に顧問も依頼した。

支援効果:中長期的な経営の方向性を確認、承継後の“経営”の自信に繋がる

代表者に対して承継についての手順を示し具体的な行動を促すことができた。後継者夫妻は経営や財務についての理解と関心を深め、さまざまな負担を理解した上で、「法人化」を選択することになった。さらに商工会議所と連携しながら、各専門家らの事業承継に係る課題についての助言などを整理して示し、中長期的な経営の方向性を確認した上で後継者が承継後の経営に自信を持って臨むことができるベースづくりに繋げることができた。