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ブロックCO 今年度の三大トピックス④ – 工藤龍雄

ブロックCO今年度の振り返りの連載の第4弾は、県西地区の親族内承継支援を担当している工藤ブロックコーディネーターによる三大トピックスです。

トピックス① 建設業(個人経営)の承継でのトラブル


 これまで数件の建設業(個人事業)の事業承継支援をおこなってきました。個人の建設業の場合、建設業許可は個人事業個人に付与されたものなので、親子といえども許可の引継ぎはできません。いざ引継ぐという時点で、準備不足のため予定した時期に承継ができなかった事業所がありました。

 将来、建設業を引継がせようと予定している場合は、青色申告の専従者にしておく必要があります。これは、6年以上の経営業務の管理責任者に準ずる地位にあるものとして、経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験を有する者とする要件を満たすためです。

 青色申告の専従者になるには、青色申告者と生計を一にする親族という要件がありますが、生計が別の場合は、「支配人」の登記を法務局に届けておくことも一つの方法です。

 令和2年10月1日に「建設業の働き方改革の促進」や「建設現場の生産性の向上」、「持続可能な事業環境の確保」という3つの観点から、建設業法・入契法が改正されました。改正の一つに、相続により建設業を承継する場合に建設業許可をそのまま引き継ぐことができるようになりました。

 被相続人(亡くなった人)が個人事業主で、相続人(後継者)が建設業の全てを引き続き営業する場合に、被相続人が死亡したのち30日以内に認可の申請をすることで建設業許可(許可番号も引き継ぐ)を引き継ぐことができます。これによって、建設業の許可がない空白期間を無くすことが可能となりました。

 いずれにせよ許認可の引継ぎは、できるだけ早いうちからの対応が大事となります。また、事業所毎に対応方法も違ってきますので、最寄りの土木事務所または県の担当者(土木建築企画課)が窓口なので、相談をお勧めします。


トピックス② 認知症が承継の阻害に! 早いうちから承継の準備を

 高齢となった事業主の事業承継で一番問題となるのが、事業主が認知症の症状が出ているケースです。認知症により判断能力を失って意志能力がないと判断されると、モノの売り買いや契約をするといった法律行為ができなくなってしまいます。

 母親が不動産業を営む事業主で子供が承継するケースでは、代表者の変更手続きができないために事業主である母親名義の土地建物の名義変更(贈与契約)もできず、アパートを改装しようにも銀行からの借入もままならない状況になっています。

 贈与・相続対策で有利な制度として、生前に公正証書遺言書を作成しておくことや家族信託制度による信託契約を結んでおくなどがありますが、これらは全て代表者が正常な判断ができる段階で行っておく必要があります。

 また、認知症になってしまった後の対応として、成年後見人制度がありますが、申請に当たって費用と時間がかかる、必要最低限の支出しかできない、不動産の売却は難しい、家庭裁判所に報告義務がある、申請人が後見人に選任されるとは限らない等の問題もありますので、制度利用については慎重を期するする必要があります。

 認知症になってしまってからでは遅すぎますので、転ばぬ先の杖ではありませんが早めの対策を心がけておくことが肝心です。


トピックス③ 日田市の事業承継個別相談会で思ったこと


 昨年10月に大分市で開催した「事業承継大相談会」の第2弾として、令和3年1月22日に日田市において「事業承継個別相談会」を開催しました。日田市中心部のほか周辺の天瀬町や大山町から事業所の出席を頂き、株式譲渡や相続問題、事業承継補助金の活用等について相談されました。

 日田市は、古くから山間部で林業が栄え、特に杉は「日田杉」と呼ばれて木材を扱う製材業をはじめ日田杉を用いた下駄づくりや漆器などの木工業が盛んです。

 また、「水郷日田」と言われるように豊富な水を使った酒造りや日田温泉や天瀬温泉など観光産業も盛んです。しかしながら最近は、平成29年の九州北部豪雨や昨年7月の豪雨災害等によって、旅館業を中心に観光産業で多大な被害をこうむりました。

 今回の相談会にも被害を受けた事業者の方が相談に来られ、事業の再建と次の世代への引継ぎに向けて懸命に努力されている姿にただただ頭が下がる思いでした。伝統産業がキラ星のごとくある日田の産業ですが、事業主の高齢化や後継者不足といった構造的な課題も抱えています。

 この伝統産業をけっして途絶えさせることのないように、事業引継ぎ支援センターとして事業継続のために微力ながらお手伝いして行きたいと気持ちを新たにしたところです。